「紅蜘蛛外伝:暗花」関係者座談会
2025年1月17日に紅蜘蛛外伝:暗花の一部関係者がDiscord上で集まって開催した座談会の記録です。紅蜘蛛外伝:暗花についての重大なネタバレが含まれる為、プレイ後に読まれることを強く推奨します。
最初に:自己紹介
- 皆さま、今回は紅蜘蛛外伝:暗花へのご協力誠にありがとうございました。おかげさまで12月24日に無事にリリースすることができました。今日は関係者で座談会ということで、今日話したことをテキストに起こして公式サイトの方に載せたいと思ってます。よろしくお願いいたします。まず手始めに自己紹介からお願いします。
- サントラ作業終わってからインフルエンザにかかってしまいまして今やっと治りかけなので声があれなんですけど、紅蜘蛛の曲を担当させてもらいました塩生です。普段は蕎麦屋で蕎麦を打ってます。今日はちょっと緊張しててお酒飲んでます。
- 今回BGM2曲担当している中島享生です。普段はゲームサウンドの制作の仕事をやっております。
- 越児役を担当しましたししゃもです。よろしくお願いします。普段は宅録で声優の仕事をしています。
- あれ、越児と全然声が違う!
- ふふっ。
- 來役をやらせてもらってましためったんです。普段もうゲームばっかしてるだけの人なんで昔に比べればボイスの録音とか最近あんまりやってなかったんですけど、よろしくお願いします。
- りょうこと是枝留です。普段は在宅で仕事をやっております。今作はヤン先生と、リム、ヘギョ、ジアーナ、ソウォンのおばあちゃんをやってます。
- りょうさんは両方の声が出せるのでいつもシリーズは男性役の方が多かったんですが今回女性役の方が多かったんですよね。
- 珍しく。
- MIZNEYです。今回ティン、ソッキョン、チャルブーンの使用人、あと越児さんを襲撃して縛られちゃう役をいただきまして、後は歌も参加して、とても楽しかったです。
- 今回、主に人集めに奔走しました、璃月です。歌の人が集まらないって聞いて10人くらいの人をぶち込んだのは私でした。役としては、ミオクに撃たれる役と最後パナマでミオクに話しかけた女の人でした。普段は声での活動は読み聞かせしてるくらいです。
暗花の話が来た時どう思ったか
- 今回Kellyさんの方からお話があって、10年目ということで節目っていうのもあったんでいろいろ資料をもらったんですけどもその話の内容がタイに行くってことで自分もタイの勉強をしないといけないかなと思って一生懸命やってみたんですが結局のところ出来上がった曲は自分なりの曲になりました。
- 今回はどのくらい締め切りぶっちぎったんですか?(Kelly注:中島さんは塩生さんとネバーランドカンパニー時代からのお知り合いです)
- 今回は限りなく締め切り通りでした。しかもお願いした以上の曲を書いていただきまして助かりました。
- 結局何曲だったんですか?
- 最初はオープニングとバトルとエンディング3曲ということで話頂いたんですけど最終的に10曲ぐらいになりました。
- そんなに?
- プラスで5曲書いていただいたのと、劇中歌の「自由」のカラオケ作っていただいたのとテレサ歌唱版のMIXをしていただきました。
- 僕の昨今の仕事の多くがバトルシーンのBGMなので、いつもの手癖のまま作ってアップしたんですが、いざゲームに乗ると紅蜘蛛の大人の空気とは違う、少年的なヒロイックさが出てしまっていたので、自主ボツを申し出ました。
今更ですけど、BGMって難しいですね。主張しすぎてもいけない、でも美味しい所も無くちゃいけない。
その点、紅蜘蛛の通常シーンのBGMって、凄く上手い作りだと思うんですね。ちゃんと雰囲気を醸し出す為の曲になってる。
今回、Kellyさんからは「シナリオが地味なので、戦闘シーンは音楽で派手に盛り上げたい」と言われていたんですが、自分流に好き勝手やってしまうと合わなかった。その辺の匙加減は凄く難しいなと、久々に思いましたね。 - 曲が来てからすぐにプロトタイプに合わせて見ていただいたら中島さんからすぐに作り直したものが返ってきました。
- 曲が乗ったプレイ動画を見たところ、自分でも「これはないな」って。なんでか、作ってる時には自覚出来ない。
エンディングの曲も、メロディー的な主張をどこまで入れていいか、悩みましたね。
参考用に頂いた曲があまり動きの無い曲で、シナリオとしても、希望に溢れるというタイプではない。自分がかつて作った事のないタイプのシーンだったので、匙加減は本当に苦労しましたね。
自分でプレイしてみたところ、上手く合ったなという自負はあるんですけれど。 - 最終的にすごく良い、合ったものになったと思います。ありがとうございます。
- 新作のお話が来た時新作作られるんだと思って是非また越児さん演じたいなと思ってたのですごく嬉しかったです。声どんなんだったっけなって思いながら前収録した音声を確認しながらこんな声出してたんだって思いながら録ってました。越児さんもそうですし、ミニストーリーの石蒜とか幼い月。12歳ぐらいの月は初めてかな。石蒜と越児の声聴いて、石蒜こんなに声若かったっけって思ってました笑 思ってたより高いなって思って、合わせながら演じましたね。
- 私も最初お話聞いた時自分の声どんなんだっけなっていうのがあったんですけど基本的に地声に近いんでこんな感じだったかなっていうので最初ちょっと送らせてもらってそこからちょっとずつ思い出しながらやってました。
一番最初お話聞いた時は、皆さんも思われたと思うんですけど、「顔がある……!」ていう。(そうそう、と同意するMIZNEYさん)そこが一番でしたね、本当に。
あとは毎回毎回お話来る度私の録音環境変わってるんで大丈夫かなって不安がある中でやってたんで気に入っていただけるような音声録れてよかったかなと思っています。 - 來の顔を見てどう思いましたか?
- 割と想像通りって感じでしたね。
- お話聞いた時に、今までの紅蜘蛛シリーズいろんな役をやっているので今回はどんな役が来るかなと思ってたら女性が多かったので──男性1役、女性4役だったんですけど、極力声被らないように録ろうと思って頑張りました。
- キャラ絵を見た時の印象ってどうでしたか?この顔がついてるキャラだとこういう声かなみたいな感じのことって考えるんですかね?
- なんとなくは。後は台詞とかキャラクターの置かれた状況とか見て声の作り方は決めます。なければないで台本みてやりますけど、多少顔がついてるとこれぐらいの方がいいかなとかいうのはありますね。
今回は、ししゃもさんやめったんさんみたいに前回やったキャラをやるわけじゃなくて全部新しいキャラなので、どうやって声出そうかなって。
普段男性キャラが多くて男性の声分けっていうのはある程度やるんですけど女性の声分けってそんなにやらないんですよ。どうしようかなって思いながら。でもなんとか分けられたのでよかったなと思ってます。 - 今回お声がけいただく前からKellyさんが新作書いてるってtwitterでつぶやいてたのを読んでて、新作出るんだってワクワクしてはいたんですけどまさかフルボイスやるとは思ってなかったんですよ。今回はノベルだけ出すのかなって。正直前の時……すごい大変そうだったんで。なのでお声がけが来た時は「(フルボイス)今回もやるんですか?!!」っていうのが第一の感想でした。心の中では「なんて人だ。なんてバイタリティ。なんてメンタル……」って、まずその点で動揺しましたね。
あとは、それまでのつぶやきではどのキャラが出てくるのかっていうのが想像つかなかったんですよね。越児さんぐらいしか名前出してなかったんじゃないかな、新しいキャラがみたいなことは書いてらしたけど。だから誰が出るの?どのキャラが出るの?っていう。年代的に後の話書くんだったら結構いなくなっちゃってるキャラもいるだろうしと思ってたら全然違う、時系列が前だった。しかも舞台が香港じゃない。中国からがっつり離れてタイが舞台ってとこにびっくりしました。 - キャラ絵はどうでしたか?
- 最初に思ったのは、ティンが思ったよりがっしりしてた。確かにムエタイの名手ですからね。格闘技の使い手だからそれは言われてみればそうなんですけど、顔グラない時のイラストって結構みんな顔の輪郭がどんぐりとか丸に近い感じだったので、骨がちゃんとある3Dで来ると、ティン結構いい身体なんだ、ていうのが第一印象ですね。私の場合だと顔グラとかがあった方が、声が低いのかな、高いのかなみたいなところの一つ指針になる気がして。紅蜘蛛は顔グラのない時からやっていたので、今回そういうのに合わせに行って声を考えるっていうの新鮮で楽しかったです。
- (Kellyさんがキャストの手配に苦労しているのを見ながら)わーい、また大変なことになってる。どうしようこれは。大丈夫ですか?てお声がけを私からしたのが今回の参加のきっかけです。
新作についてのつぶやきは見守ってたんですけど、どこの時系列やるかは予想ついてたので、じゃあ私がやってたキャラクターはいないところだよね、ていう風に思ってたんですよ。そしたらコーラスの人が足りないって言われたので急遽普段夜集まって話してるゲームをしてる仲間にDiscordで声かけて10人ぐらいに録らせたっていう。とんでもない悪魔の所業をしました。納期2週間でしたよね。で、最初は伴奏と楽譜しかなくてこれ実際に歌ってる声がないと一般人には録れないぞってなって、仮歌も仲間の方に作ってもらいました。
で、暗花、イブにリリースされたじゃないですか。なので、自分らが歌っているところを聴きながらすごい嬉しいクリスマスプレゼントになったなっていうのが今回の暗花との関わり方になりました。
後は読者として「これもしかして前の声優陣揃う?」って思ってすごい期待してたので、また皆さんの声が聴けてとても嬉しかったです。
自分の担当パートで気に入っている部分
- 気に入ってるのはエンディングですかね。エンディングはタイに留まるって前提で作ってたのでタイの解釈とかふんだんに入れてたんですけど、一回Kellyさんに聴いていただいて、ちょっとタイ色強いかもと言われて、自分もそう思ってたのでそれをちょっと削っていったところ入れ込んでいた曲が逆にいい感じに浮かび上がってきて、最後のところで多少ガムラン的なものを入れつつ終わって。
で、それでKellyさんにオッケーもらって聴き直してると結構癖になるんですよね。自分の中ではエンディングの中で一番よくできたんじゃないかなっていうぐらいの出来に仕上がりましたね。 - 僕が今回担当したのは、杜鵑の章のラストバトルとエンディングの2曲だけなんですけど、エンディングは先ほども述べたように、上手く合ったと思っています。
本当は、もっと感情を揺さぶるような仕掛けを盛り込みたい気持ちがあったんですが、求められているものとは違うかなと、自分を抑制しました。結果的にそれが良かったかなと。
バトル曲は、作り直したバージョンでも、どことなく隠しきれないヒロイックさが出てしまったと感じるので、もうちょっと渋さのあるベクトルで進めた方が良かったんじゃないかと、心残りではあります。 - 補足しときますと塩生さんと中島さんにオーダーした時に両方ともに同じようにバトル曲とエンディング曲をお願いして、どっちをどっちのルートに使うって決めてなかったんですよ。上がってきたものを聴いてどちらをどちらにするか考えようと思ってて。そしたら上がってきたものがそれぞれ塩生さんの方はどう考えてもこれ蜘蛛の章の方だよな、中島さんの方はどう考えても杜鵑の章の方だよな、とかっちり分かれてて、すごいなと思いました。
- Kellyさんのエンディング曲のオーダーは、「来る前とは少し違った、もう元には戻れない日常に戻っていく、少し物悲しい曲にしてください」というものだったんです。
ところでこのタイミングで聞いていいのか分からないんですけど、気になったのが冒頭のバーHEAVENのシーンでのBGMが、本当にお店の中の頭上スピーカーから鳴ってるような感じなんですけど、あれは何か3D処理みたいなのしてるんですか? - 3D処理っていうか、Adobe Auditionを使ってそれっぽいエフェクトをかけてみたものです。ちなみに音響効果的には他にも最初の倉庫とか地下室とか反響かかってるような場所で話す時にはリバーブかけてたりします。
- 本当にその空間で音が鳴ってる感じがあって、凄く良かったです。
あと気になったのは、ダルスの造形のモデルって大泉洋ですか?(Kelly注:中島さんは大泉さんのファン) - 違います。韓国にオ・ダルスっていうすごい有名な俳優さんがいまして、そちらになります。
- 好きなシーンは、今回も越児さん戦ったり任務をこなしていったりとかするんですけど、最後は永孝のところに帰ってくるんだなっていうところが結構好きだなって思いました。あと、リンが復讐しようとしてるのをなだめるっていうのが越児さんらしいなって。
- 來が、リンと関わってる時すごい本当に優しいお兄さんみたいな感じで接してて、こういうところ警官になるべくしてなったのかなというのがすごいひしひしと伝わってきてほんわかしました。最後の一緒に行かないのみたいなところでは、來的には一緒に行けたらいいかもしれないんだけどなー、とかいろいろ思いながら。そこが一番好きなシーンですかね。
- 意外と結構お気に入りなのがジアーナちゃん。跳ね返りのマネージャーさん。あとはヤン先生が、子どもを診察してる時、本当の目的は臓器売買の為なんだよなっていうのを頭に入れつつやってたりそれぞれの役が面白くて。リムが來に助けを求めるとことかも楽しかったです。
- 最初りょうさんにヤン先生をオファーした時、りょうさんから「悪役ですか?」て返ってきたんですよね。
- そう。臓器売買に関わってるって設定があったので。診察した子どもに「痩せてるけど健康状態には問題ないよ」って言うところとか「臓器売買平気だよ」って裏がある。台詞がちょっと黒いですよね。
- 自分の声乗ってるのを聴くのが怖くて実はまだやれてないんですけど、やっぱりソッキョンの拷問されてるシーン。あそこ、Kellyさんから元の言語(朝鮮語)で台詞がありますって言われたんですけどシナリオを見ても台詞としてそれはなかったんですよ。今までいただいた紅蜘蛛のお話では、生きてる側しかやってこなかったんですけど、今回のソッキョンはまあ、激重で。
私にとって濃い設定。作中で見える部分が濃いっていう意味ですけど、ミオクのしこりになるぐらいの、肉親殺したらそうかとは思いつつ──日本でのうのうと暮らしてたらとてもじゃないけど、自分が研究してることは興味があってやってることなのにそれが国の方針に反してるかもしれないなんてシチュエーションある?っていう。その状況からまず重たいし、更にそこを元の言語でやるってことで、日本語で演る以上に、言葉に向き合った場面ですね、なので私としては一番思い入れがあります。
後は、ティンが來に対して越児さんをネタにしてちょっとからかったりするところが、好きでした。関係値がいいなっていう。仲間ってほど普段一緒にいる訳じゃないですけど旧知の仲って感じがして、すごく楽しかった台詞です。 - その部分がシナリオに言葉としてなかった理由なんですが、ただでさえ殺されかけているというハードな状況なのにそれを原語で言っていただくというのはさすがに無茶ぶり過ぎると思って、無理なら日本語で言ってもらうか、もしくは呻き声だけにしようと思ってたんですよ。なので、果敢にも挑戦していただいたことは凄く感謝してます。
- あれから第二言語っていうか他の言語にも興味を持って、今duolingoで中国語勉強してます。
- マジですか?!
- マジです。これでアジア映画とかも見れるなって。
- 分かりました。それではいずれまた新作でボイスをお願いすることになった時には是非また現地の言葉をよろしくお願いします笑
- 私が印象に残っているのはまずとりあえず。越児さんが戻ってきて最後永孝と抱き合ってる場面をクリスマスに実況できてすごく嬉しかったです。ていうかあの立ち絵!今まであんな絵なかったじゃないですか。なのでまずあの絵を見て鳥肌立ちました。
- 確かにあの絵は本当にリリース直前までなかった絵で、リリースギリギリに内容詰めてる時に、やっぱりここにもうひとつ何か欲しいなあと思って急遽作った絵です。なのでキャストの皆さんが見ていたプロトタイプにはなかったですね。
- で、次思ったのは來がやさぐれてるなあって。それでもティンと話してる時はお人よしなところが垣間見えるところが來だなあ、って思いましたし、MIZNEYさんの場面はシナリオ読んでこの場面はきついなあと思ったのと、これまで紅蜘蛛シリーズで演じた役柄としてはお互い死ぬ役は演じた事なかったのにこれでついに死んだことない仲間が減ってしまったー、と思いました笑 りょうさんについてはジアーナ、こんな役もするんだってびっくりしたのと、ヤン先生がめちゃめちゃかっこよかったです。
あと、紅蜘蛛のお馴染みのボタン押した時のピチョンって効果音?これ、イメージ的には越児さんの方の効果音なんだよなー、杜鵑編は違うのでもいいのでは?て思いました。後は、バトルシーン!静止画なのに動いてるように見えるBGMが本当にすごいなって思いました! - ありがとうございます!
- あとは……月の声が。もうちょっとロリッとしてるかなと思ったら、越児さんのままちっちゃくて。すごいなーって思いました。
- あれは地声に近いんですか?
- いえ、越児さんの声をベースにして小さくした感じです。
- ですよね!こんな小さい時からこんな喋り方してたんならそりゃ賢いよって納得できるような。越児さんたちの掛け合いは古くからの紅蜘蛛ファンにはたまらなかったんじゃないかと思います。
楽曲「自由」について
この時点で一時間。めったんさんが退場となりました。
- いろんな方のお話を聞けてよかったです。リメイク版よろしくお願いします。(Kelly注:めったんさんにはリメイク版での來のボイス収録を依頼中)
- ありがとうございました!引き続きよろしくお願いいたします。
- ついでに、羅役のきりまささんから伝言です。
『すみません、コロナをやって空咳が酷い為今回欠席です。あと仕事終わりません。ごめんなさい』 - あと、テレサ役の谷風結香さんからDMが来まして今日は体調不良で参加できないので皆さまによろしくお伝えくださいとのことでした。
- 皆さん体調大丈夫ですかね……今インフルとかコロナとかすごく流行ってるそうですし。
- 塩生さんはどこでインフルもらったんですか?
- 多分、息子から。1月にKellyさんの依頼の歌もの(『自由』のMix版)を仕上げてその次の日にバタン。
- おつかれさまでした……。歌もののMixは全て塩生さんがやってくださったんですか?
- 合唱は私がやってます。ただ、璃月さんの分は既に10人ぐらいMix済みの音源できたのでそれをそのまま放り込みました。それに加えてMIZNEYさんから来た15トラック分ぐらいを足したり……
- それ!聞きたかったんですよ。Kellyさんが言ってた、15トラック分ぐらい送ってきた人ってお名前は伏せられてたんですけど、私的にはMIZNEYさんじゃないのかなとほぼ確信してて。
- 当たりです笑
- 声重ねる系は同じ人でもテイク分けて沢山録った方がいいと思って……結果的に16?15か?録りました。(Kelly注:その後確認したら16トラックでした)
- しかもオクターブ違いのまで送ってくださいましたね。
- 確かその時男声が少ないって聞いて?原キーで3~4つ。残りはオクターブ下で録りました。
- そう。で、それに加えてきりまささんが7トラック分ぐらい?だからクレジットには25人いるんですけど実際には50トラック分ぐらい混ざってます。おかげでとても荘厳な感じになりました。
- すごい……
- 実は私も男声が少ないって言われたので、オクターブ下で録ったやつも混ぜてます。
- いやー、集まらなかったら私全部一人で重ねなきゃいけないかなと思ってたので本当に助かりました。
ちなみに残りの10トラック分ぐらいは私がゲーム音楽の合唱団体に参加した時に知り合った人たちに声をかけたら面白そうじゃんって言って参加してくださったり集めていただいたりした分です。 - そういえば中島さんの奥さまも歌っていらっしゃいませんでした?
- 歌っております。
- じきじきにお願いしました。
- カラオケ好きなので。
- あそこ字幕流れるの早いんでプリントスクリーン連打して確認しました笑
- いや、あの字幕見てる方結構いるんだなっていうのは意外でした。他にも竹内さんに気付いて指摘してた方がいらっしゃったので。
- へー。
- 「自由」のカラオケといえば、最初Kellyさんに提出したやつは『古い』って言われたんです。
- えええ??
- なんていうか……70年代ニューミュージックって感じだったんです。
- いや、自分のイメージとしてはベトナム戦争の頃っていうか、「この素晴らしい愛をもう一度」みたいな。
- ズバリその辺じゃないですか笑。
- 最初に自分の中でイメージとして出てきたのがグッドモーニングベトナムで。テレサが70年代生まれ(Kelly注:テレサは1979年生まれ設定)ということもあってそういう背景があるのかなと思って。
- で、もう少し新しくしてくださいってお願いしたんです。
- でまあ作り直しになりまして。あんな感じになりました。
次回作について
- Kellyさんへの質問なんですけど、結局次回作はミオクが出てくるということですか?
- 一応、次のシリーズは、ミオクとテレサとヤンと起靈とBJが5人でチームを組んでいろいろな事件を解決していくシリーズにしたい、と「今のところは」考えています。
- 越児さんは、スーパーバイザーっていうか見守る立場になるんですか?
- いや、彼らは多分越児さんとは違う世界で生きてる。越児さんは黑社會の人ですが、あの人たちは組織には所属してなくて。あと時期的にも多分紅蜘蛛3の後なんですよ。だからもう越児さんいないので。
- 確かに、いない。
- 3の時にはまだ起靈が蜘蛛网でラストバトルに参加してる訳ですけど、それが終わって蜘蛛网がなくなっちゃったんで行くとこがなくなっちゃって。その時にヤン先生は先に蜘蛛网を抜けてテレサやミオクと一緒に活動してるんですけど、そのヤン先生を頼って起靈がそこのチームに入るっていうエピソードから始まるようなイメージです。
ただ、多分次の新シリーズ書くのはどう頑張っても1年以上先なのでその間に別のものにハマったら別の話になるかもしれない。(一同笑) - その5人が何かの事件に関わって解決していくって感じのスタイルになるとその事件の関係者の方がメインキャラ的な感じになるかもしれない。どっちの比重が高くなるかまだわかんないです。暗花の蜘蛛の章はリンの比重が結構高かったですけどそんな感じになるのかなあって。ただ、今はそう思っているというだけで……
- 実際にキャラが動き出した時にどんな動きするのか分からない……
- そうですそうです。だから越児さんは新シリーズには多分出てこないと思うんだけど、越児さんと会ったことがある人っていうのがぴょこっと当事者として出て来て越児さんとの思い出を語ったりしたらそこで越児さんが出てくる可能性はあるみたいな。
- 回想で。
- そうです。
- 黒社会繋がりで『龍が如く』の主人公世代交代みたいな、そんなバトンタッチみたいな感じで、3以降の物語がこれから出てくる予定なんですね。
ユイについて
- ところで今日いらしてないんですけど皆さん呉丸さんが演じたユイをどう思いましたか?
- キャラ的に生きてて欲しかったランキング1位なんですけど!!なんで死んじゃったの?!て思ってました(一同爆笑)
- またこの役者さんの役死んだよって。
- 確かによく死ぬ。
- ヒロインのそばにいて死ぬっていう役2つやってますもんね。
- ジェンダーの壁乗り越える為にあそこまで結構ガッツリ手術しますぐらいまで言い切ってるキャラって今まで紅蜘蛛にいましたっけ?
- 多分トランスジェンダーは初めてかな?
- しかも北から逃れた上でそれでしょっていう。なんかもうすごかったですね。
- 設定盛りまくりで笑
- ステーキの上にフォアグラ載せたロッシーニみたいな笑 だからこそ生きて欲しかったんですけど。ユイは(キャラとして)ほんとよかった。
- ユイは杜鵑編書き始めた時はいなかったキャラで、冒頭ミオクさんがすごい地味なスパイ活動ずっとしてて、これ本当に面白くなるのかなとか思ってたら突然駐車場にユイが生えて来たんです。
いやこんな濃いキャラ出てきたらもうこの人が話の方向性を一気に決定付けてしまうけどいいのかなって思いながら流れに身を任せたんですけど、出てきた時点でこれは呉丸さんのキャラだって思ったんですよ。 - へー。
- その時点ではまだ死ぬ予定はなかった。死ぬかもしれなかったけど死ぬという確定はしてなかったんですけど、ラストバトルまで書いたら結局死んだんでやっぱり死んだかって(一同爆笑)
- せめてユイが生きてたらミオクがあんなに寂しいバカンスになることもなくラストがもうちょっと明るくなったと思うんですよ。
- あー、でもユイはユイで多分、生き残ってトランスしたところで多分、結局自分が何になりたいか分かんないままだったんじゃないかな、という気がしていて、それで死んじゃったのかなと思いました。
だから本当はね。呉丸さんに演じながらどう思ったのかすごい聞きたかったんですけど。 - いやーちょっと聞いてみたかった。
- あれだったら後でちょっとDMででも聞いてみます。ご本人、自分になんでこの役が来たんだろうって悩んだりして、収録も大変だったそうです結構。その辺の苦労話は24日にサントラ出す時にアップデートされるクロニクルに載る予定なので読んでみて下さい。
後日呉丸さんからこの点についてお返事をいただきました。ありがとうございました!
- Q.ユイを演じるにあたってユイのことをどう思ったか
- A.自分とは掠りもしない特性の持ち主で地球の裏側にいる人よりも遠い存在だなというのが第一印象ですね
とはいえ古来から自分と全く異なる人物像ほど振り切って演じられるという説もあるので、その意味では楽しく出来そうだなとも。
シナリオを読む中でもつくづく自分とは根本的な考え方が違うなぁと思っていましたが、いざ収録に入ると想定よりは苦戦しませんでした。
…といっても、ピッコロ大魔王が死に際に自身の分身を宿した卵を吐くぐらいのイメージを想定していたら実際はテキーラをショットで一気してマーライオン化するレベルだったので難産には変わりないんですがね。
紅蜘蛛の過去作で演じた役然り、他で頻繁に演じている役然り、浮名を流すことに定評のある(笑)人間にこの配役かとKellyさんのキャスティングに面食らったのは事実です - Q.結局最後死んでしまうユイの運命についてどう思ったか
- A.率直に一言で表せば「うん、知ってた」か「ですよねー」が妥当でしょうか
だって過去作で、同一作品の別ルートで、計6回死んでるんですよ私。
初めからその予定はなかったと伺いましたが、上記の経緯があるのでオファーを頂いた段階で「お、今回も死ぬかい?」って。
で、案の定でしたから驚きとか落胆とかはなかったですね
ただ、生き残るキャラクターと違って死に様という見せ場が与えられているので、そのシーンに初めて直面するプレイヤーに「死なないで」と思われるように頑張ろうとは考えてました
最期が一番の見せ場であればそこからの逆算で、存命時の表現もある種伏線的な要素にもなり得るわけなので、惜しい命を失くした感が出るように自分的に目一杯ユイに向き合った成果が一人でも多くのプレイヤーさんに響けばいいなと
推しキャラについて
- もう絶対聞けないから聞いてみようと思うんですが、越児さん的にはやっぱり永孝が一番ですか?いろんなキャラが越児さんに恋をしていましたが……
- 確かに。でも……永孝でしょうね。
- 個人的な推しキャラとしては?
- その時々で結構変わるので、なんとも言えないんですけど、やっぱり天狼かな。なんかこう、越児と魂で繋がってる感がある感じが。
- 今作のユイは、自分がミオクに近いキャラをやったっていうのもあってかもしれないんですけど、懸命に生きる為にとてつもない行動をしてる一人ではあったと思うんですよ。北の軍も抜けたし、文化的に受け入れられないみたいなところも突き進んでったっていう意味もあって、ユイは推しキャラの一人ですね今。でもミオクも同列ぐらいです。
- !そうなんですね。
- 越児さんとはまた違う意味で、割り切ってるけど、なんか人間味が残ってるとことか。
越児さんは永孝と出会って救われた、みたいな人間性を取り戻す流れが、そもそも根本が違う二人だと思うんですけど、ミオクは──過酷さって単純に比べられるもんじゃないとは思うんですけど、越児さんとは違ってまた人間味を削る育ちになってるけど、でも多分元々それを手放さなかった人な気がするんですよね。外的要因に惑わされないで、手放さないけれど適応するために手放してるふりしてるところが、ミオクさんは純粋に幸せなおばあちゃんになって欲しいという意味で推しキャラになってます。茶館で通行人を眺めているおばあちゃんになって欲しい笑 - ……どうかなあ笑
- いや、『業』だとか言われたらもうどうにもならないですけど。越児さんは戦いから解放されることが一つの救いにもなっていたような気がするんですけどミオクの場合単純に別に元々(市井と)隔絶された世界に住んでたわけではなくて、普通の一般人に紛れるのは北でもやってたことだし、だからなおのこと何も気にしないで生きていける、のほほんとした時を過ごせるようになってほしいなって私の中で願う紅蜘蛛の中では珍しい対象で。ユイは死んじゃったけど(強調・一同爆笑)、せめてミオクには、余生に平和な一時が訪れてほしいなって思う推しです。
ティンはうまく生きていっちゃいそうな気がするんですよ。多分業をめちゃくちゃ背負うようなことは結局しなさそうな気がするんですよね。世界から見放されるみたいなことにはならなそうな気がするのである種ちょっと安心してる自分がいます。 - 私はラムローワンです。
- りょうさん前からそう言ってたよね。
- 変わらなかった、今回もかっこよかったですね。
- 推しキャラ、まあ、2からあれですけど、やっぱり天狼ですかね。あと俳優として曾志偉が好きなんで、楊坤。なんか人間的にあたたかいじゃないですか。冷たさと、本当ノワールにありがちな。
- 僕は、過去作のライナーノーツでも書いた通り、天狼好きだったんですけど、今作をプレイしてラムローワンが好きになりました。いや、もちろん天狼が好きなのは変わらないんですけど。ラムローワンの魅力に気付いたというか。
- どの辺ですか?
- 大人の、仕事のできる男、信頼できるなこいつ、っていう。子供にはわからない魅力と言いますか。
あと、ミオクの、ビジュアルと、ちょっと喋りが淡々としてるところが、僕が好きなアニメで「BLACK LAGOON」っていうのがあるんですけど、その中のシェンホアっていうキャラを思い出して──青龍刀みたいなの持ってるチャイナ服の殺し屋なんですけど、あのキャラ好きなんですよ。なんかちょっと通じるものがあっていいなって思いましたね。淡々としてるけど何かしら引っ掻き回してくれるっていう。
収録環境について
- ボイスをやる方に聞いてみたいことで、周りの音が入らない状況をつくるのって大変じゃないですか?
- 一応、吸音ルームでやってます。
- それはなんか自作の?
- 買いました。部屋の中にもう一個部屋を入れるみたいな。
- 部屋の形になってて、パソコンとかその辺だけがちょっと入れられて、みたいな?
- そういう感じのです。
- あれもなんか、中を快適にしようとしてエアコンとかけたらその音入っちゃったりしますよね。
- なので、エアコンつけられないです。録ってる間は。
- 声を録った後に、音処理みたいなことはされてるんですか?
- それともその辺の処理は全部Kellyさんですか?
- 人によります。ノイズが乗った音源が来る方もあれば、ほとんど乗ってない方もいて、ほんとにバラバラです。
- まあ、プロの現場でも違うスタジオで録って、なんか全然音質違うんだけど、みたいなのってありますからね。
- 本当はスタジオを借りてちゃんと撮れればいいんでしょうけど、そこまではちょっとできない。りょうさんもエアコン止めてます?
- エアコン止めてます。エアコン止めて録って、一応ノイズ処理はして出してます。
- 今回は収録が8月下旬から9月の頭にかけて、残暑っていうかまだ夏だった時期だったので、エアコンなしは非常に大変だったのではないかと今思いました。すみません。
- 大体でもそんなもんですよね。冬も同じ。
- 寒いけど暖房つけられないっていう。あと夏場で困るのは、蝉とか虫系の声、夏秋大変じゃないですか?
- 蝉入るんですよね。
- 蝉、どんな防御しても入るんですよ、やっぱり周波数的な問題か。めっちゃ入るんですよね。あれは大変でしたね。
- 君の周波数帯は切るんだよってノイズカットでザーッて切っちゃいます。
- でも声が痩せません?あんまりやりすぎると。
- なるべくならピュアな状態で撮れればいいですけどね。今、加工ソフトも幾つかいいのがあって、iZotopeのRXってやつがすごく、今までの波形編集だけじゃできないような、音のフォトショップだなって思うぐらい。いろんな、それこそ蝉の声の部分だけ学習させてそこだけ逆相の音をぶつけて消すとか。
- ボイスデノイズがそれですかね、多分。
- うんうん、それですね。
- あとは、リップノイズを取り除くとか楽に出来るようになったおかげで、音声編集の仕事でやる事が増えた。料金は変わらないんですけど(笑)。
昔は出来なかった綺麗な加工が可能になったので、便利ではあるんですけどね。
別件の仕事で、「長い叫び声を短く加工して欲しい」というのがありまして。
RXを使った編集で、セリフの頭とお尻を残して、間をバッサリとカット、のりしろ部分をリペア機能で繋いだら、違和感無く繋がって、これは凄い時代になったなと思いましたね。 - 今、iZotopeのRX11 Elementsで16900円。
- Elementsでできたかどうかは、ちょっと……。
- そうか、アドバンスに行かないとダメなのかな。
- リペアはElementsになかった気がしますね。私もElements持ってるんですけど。
- スタンダード以上だと思います。
- デクリップ、デハム、デノイズはElementsでもあったかな。
- そうか、皆さんiZotope使ってるのか。ちょっとそれは参考にいたします。
シナリオとの向き合い方について
- メインキャラってなるとその他のキャラをどのぐらい把握してるかみたいなところってキャラ作り関わってきません?例えば紅花会のメインたちってお互いがいつどう動いてるか知ってる知ってないみたいなのっている?いらない?どうなんだろう。そのあたりってやっぱり役者によって違うのかもしれないですけど聞いてみたい──でも今紅花会の男連中いないんだここに。
- 皆さん、とりあえずシナリオは全部通して読むんですか?自分の出番でないところも。
- 読みますね。
- 一応さらって読みますね。
- 紅蜘蛛は面白いから読んじゃう。
- そういえばししゃもさん杜鵑の章のシナリオも読んだんですか?
- 読みました。
- 出番、ないですけど……。
- あはははは。出番ないんですけど、(この話)どこに入るんだろうと思って全部読みました。だいたい多分ノベルゲーは全部読むんじゃないかな。
- 紅蜘蛛はルートによって明かされる謎が全部違うじゃないですか。だからこいつとはどういう関係なんだ自分のキャラはっていうのを把握するのに全部読んでます。
- 状況説明のト書きとかってボイスドラマとか他のゲームとかで沢山書いてあるものなんですかね?紅蜘蛛はほとんどないんですが。
- 舞台劇だとこういう場面で扉の前にいてとかっていうト書きありますけどボイスドラマ系でト書きがいっぱいあるのってあんまり見た事ないです。
- ゲーム系だと、どうしてもここはこういう感情で読んでほしいみたいなのがある時だけ書かれてたりしますけど、ほとんどないですかね。
- たまに細かく書いてくれる人いるんですけど、書かれ過ぎると見づらかったりして。
- なるほど、書きすぎてもあれなんだ。
- そういうのがたくさんあり過ぎても、全部目を通して全部それに沿った演技をするっていうのはちょっと大変かもしれない。
- 書かれた方の表現したかったこととずれてる場合は普通にリテイクでいいと思ってるんですけど、皆さんどうですかね。
- そうですね。
- あと、後から聞いて他の方の音源とテンションやキャッチボールがずれてたら、なんでリテイク出してくれなかったんですかって思う時はあります。
- あるある笑
- そればっかりは両方の音源届いた方じゃないと分からないので。
- なるほど……。言うても紅蜘蛛の場合は本当に皆さん別々に録ったのかよっていうぐらいかなりしっかりハマってるように私は思ってます。皆さんすごいと毎回思います。
- あと、これでももちろんいいんだけどこっちのパターンも聞いてみたいんでちょっと取ってみてもらえますかみたいなのとかは言ってもらえれば。
- 役者冥利には尽きる要求かなと。
- なるほど。
こんな話をしているうちにあっという間に時間が経ち、なんとトータル3時間の長丁場となった為、お開きとなりました。とても楽しい時間でした。改めましてご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。