香港ノワール系同人ノベルゲーム「紅蜘蛛/Red Spider」リマスター版リリース記念座談会
「紅蜘蛛/Red Spider」リマスター版リリースを記念して2025年10月4日に一部関係者がDiscord上で集まって開催した座談会の記録です。正確には葛原さんは後から参加だったのですが、項目ごとにまとめています。紅蜘蛛2についての重大なネタバレが含まれます。
最初に:自己紹介

- 紅蜘蛛1作目のリマスター版を9/15にリリースしました。今後続編も順次リマスター版をリリースしていく予定です。今日は1作目と2作目の関係者で座談会ということで、今日話したことをテキストに起こして公式サイトの方に載せたいと思ってます。よろしくお願いいたします。まず手始めに自己紹介からお願いします。

- KKと申します。2以降で杰克役で参加させていただいて、リマスター版では杜の新録を行いました。

- 是枝留です。リマスター版での新録は特にないんですが、2以降で思樂役を担当した他、チンピラ役でチョコチョコ出てます。

- 2で天狼を演っていました呉丸寿樹です。リマスター版での新録はしてません。外伝暗花に参加した後バタバタしてる間にリマスター版が動いていてちょっと浦島太郎状態です。

- 皆さまお久しぶりです。takenokonokoです。リマスターにあたっての再録はなかったのですが、リマスターを再生して、久々に大Bを演らせてもらった声を聞いて、これが始まりだったんだなととても懐かしい気持ちになりました。

- 素兎です。えっと、ラムローワンと他何役か、いろいろ演じてます。

- はい、ゲーセンの店長(家富)とか演じていただきました。

- 永孝役の葛原瑞穂です。今回リマスター版で1作目の永孝を新録しました。お話としては一番最初だけど2作目以降ずっと永孝をやってきた中で一番大事な話だと思って結構頑張っておりました。

- サウンド担当の中島です。僕は2からの参加なんで、今回のリマスター版には僕の曲は入ってないんですが、ちょっと音楽担当の塩生さんが来れないということで、急遽賑やかしで参加させていただきました。

- 今回の座談会はリリースしたばかりの1作目のリマスター版と制作に入った2作目のリマスター版のものも兼ねているので全然問題ないです。よろしくお願いします。

- studio waspのworthです。紅蜘蛛シリーズには編集という形でかかわっておりますが、ここ何作かはあまり時間がとれず、本格的な活動はあまりできていないです。

- 今日の参加者は全員、2018年にフルボイス版完成記念の打ち上げを新宿で行った時に参加していただいています。皆さま本当にお久しぶりです。
最初に:リマスター版について

- リマスター版を一部でもプレイされた方、顔がついてどんな風に思われましたか?

- だいぶ印象変わりましたね。大B、元々の俳優のベースの顔はあまり知らなかったんですけど、裏社会の幹部になるぐらいだからもうちょっと怖い顔してるのかと思ってたんですけど、意外と人の良さそうな顔してるなって。
ティンは思ったより筋肉質でした。肉付きがよくなって、実在してる感が強くなって、存在感が出るなっていう違いが面白かったです。 
- 自分はそこまではっきりとイメージしてた訳じゃないので、逆にこういう顔なんだなって柔軟に取り入れられました。アニメタッチから3Dになっちゃったりするとイメージが変わるかもしれませんが、元々がない状態だったのですっと入りやすかったです。

- 元の俳優さんは元の俳優さんで天狼は天狼だなって思ってて、自分の中であまり顔のイメージって固まってなかったので特段驚きとかはなかったです。今もし天狼の台詞再録するとしたらちょっとやり方変わりそうだなぐらいのところはありますけど。

- 思樂は、制作中動画のやつだとパンツルックだったじゃないですか。スカートのイメージがあったんでそこはちょっと意外でした。

- 確かに元々はワンピースでしたね。あれは職場の場面なのでパンツスーツですが別の場面ではワンピースになると思います。

- 杰克は自分が若さと向こう見ずな感じがちゃんと表現できてるかなって当時不安だったんですけど、改めてグラフィックつきで見て、まあ及第点かなと思いました。

- リマスター版の新グラ、やっぱり一般ウケはしそうかなって思いました。オリジナル版は顔がないってとっかかりとしてちょっと違和感があるんじゃないかなと思ったんですね。実際遊んでみた感想としては全く気にならなくて、むしろその方が想像力が高くなる気はするんですけど。でもリマスター版は絵が全く違って情報として分かりやすくなったと感じました。
永孝の顔は、思ってたのとはちょっと違って。もっと優男なのかと思ってた。意外と体格もがっしりしてるし武闘派っぽいですね。 
- 中島さんはボイスはしていらっしゃらないですけど、リマスター版のグラフィックはどう思われました?

- (オリジナルは統一の立ち絵形式だったのが)今回は自分でポーズ決めまでしてる訳じゃないですか。アングルがちゃんとついた状態で見れるって言うのは見栄えの点ですごい改善だと思います。分かりやすさは格段に上がりましたね。

- 紅蜘蛛一作目の時は、Kellyにとって一番最初の作品だったということもあって、僕からのダメ出しがすごい多かったんですね。彼女は自分の頭の中にある映像を文章に出力してくるので本人には見えているものが読者に見えないってことがすごく多かったんですよ。そこが今回グラフィックが超絶パワーアップすることで、説得力がめちゃくちゃ上がったなーと思います。
ただ、グラフィックがリッチになったことで、このポーズで動いてるんかいとかの違和感が出てきたところもあるかも。 
- グラフィック新しくすることで特に変わった点なんですけど、鬼ってトレードマークがサングラスじゃないですか。だから基本的にオリジナルではいつでもサングラスしてたんですけど、今回グラフィック作って見たらこんな暗いところで本当にサングラスしてるか?とか気になるようになったんです。で、ハッタリを利かせたい時はグラサンしてるけどそうでない時はしてないって感じに変更したので結局リマスター版では半分以上グラサンしてなかったりします。
オリジナル版収録当時の思い出

- 当時から自分の年齢より若いキャラクターを演じる時って声の瞬発力とか出したいのでランニングしたり軽くスクワットしたりとかして収録に臨んでましたね。で、今はその辺が楽しくなっちゃって49にしてフルマラソン挑戦してきました。何とか8時間以内にゴールできまして、とりあえず体まだ動くなってことは確信したんで、今後も機会があれば20代30代の若い役はできそうです。

- 当時全然役に会えない中でやっともらったチャンスだったので、とにかく必死な気持ちでやってました。リマスター版のプロローグを聴き直してみてもちょっと切羽詰まってる感がありますね。逆に当時の演技再現してくださいって言われたら今の自分にできる気がしないほどがむしゃらにやってました。
2のルート全部にがっつり出てくるので台詞が相当多かったんですけど(Kelly注:2だけで1000ぐらい)それだけお芝居できるのがありがたいなと思ってました。 
- ちなみに天狼のボイスに関しては、声のイケメンさが顔のイケメンさを保証しているとか理想の幼馴染を体現してるという感想をいただいています。

- そんなお褒めいただいてます?声がイケメンさを保証してるって言われると逆にプレッシャーなんですけど(苦笑)

- 私はどういう顔がイケメンなのかよく分からないままグラフィック作ってるのでその感想を聞いてとてもほっとしました(笑)

- 天狼は陰のある2枚目ですよね。天狼以降いろいろな役をやらせてもらいましたがあんだけかっこいいキャラクターってそうやってないです。特に最近はどっちかというとチャランポランな役の方が多いので、もし再録するとかいうことになったらKellyさんとよくすり合わせをしないと事故になると思います(笑)

- ラムローワンは、新月の当主だけどちょっと裏稼業になりきれない甘いところもあり、とはいえ仕事モードになったら切り替わるっていうスイッチングをうまく表現できたらなと思ってやってました。
顔グラない時は、想像の余地があって確定しないところが結構好きでした。なので今回のグラフィックの変更は世界観がガラッと変わるレベルの変化でした。
(新グラの)外伝暗花で元のラムローワンをちゃんと維持できてたかがちょっと疑問で…… 
- 聴いた途端にラムローワンが戻ってきたってすぐに思いましたよ。

- 自分も(ラムローワンの部下のティンとして)当時懐の広い人だなって印象があったのが、暗花ではより深みがあると感じました。

- とりあえず(当時の収録は)楽しめました。ラムローワンを愛してやれるのは俺だけなんだって。みんなやっぱり自分がやる役は自分が一番愛してやらないといけないもんなので。それ以上の人がいるんだとしたらその人がやった方がいいんで、そういう意味ではちゃんと、自分なりに可愛がってやれたと思います。

- 思樂は割と素のままでやってて、陰陽とかも苦労せずできたんですけど、チンピラの役が何せ多かったので、全部一緒じゃあれだよなと思ってどう変化をつけて録ろうかと苦労していました。

- 当時チンピラ役ほぼ全部是枝さんにお願いしてましたからね……台詞もアドリブで。

- そうなんですよ。でもそのせいでどのルートを見ても必ずエンドロールに私の名前があるのが面白いっていう(笑)

- 当時は、黑社會の人間に聴こえる声を果たして出せるんだろうかってところが不安でした。Youtubeに上がってた警察24時なんかを見てた記憶があります。悪いやつらがどんな喋り方するんだろうとかあまりにも分からなさ過ぎて。
幸いにして大Bは直接手を汚すタイプではなくて可愛げのあるキャラだったんですけど、とにかくよく知らない世界を表現するのですごく悩んでました。 
- なるほど……皆さん紅蜘蛛では黑社會のキャラを演じていただいてますが、他に裏社会のキャラって演じたことはあるんでしょうか?

- 結構年配の役が多いもんで、組織のボスみたいな役は何度か演じてます。どっしり構えている役から小悪党みたいにすごいせかせかしてる感じの役までいろいろやってきました。

- 基本的に高校生とかが多くて、ちょっと病んでるような役が多いんです。たまに金髪のチャラい役みたいなのもありますけど、マフィアのボスはさすがになくて。最初は『龍が如く』で勉強しました。下っ端だったらかなり難しかったと思いますが、ボスだから少し落ち着いていてもいいのかなと。ラムローワンに関しては染まりきれてない部分があったりするからやりやすかったです。オラオラ言う感じなのかと思ったらそうでもなかったから。

- 是枝さんはチンピラ役やるのに何か参考にしたものとかあるんですか?

- 普段見てるテレビとかドラマとかアニメの中で自分にインプットされてきたものから出して来てて、特にこれっていうのはないですね。

- 僕は、今まで見た悪役を思い浮かべたり、悪役を舞台でやったりするのでその時のイメージとかを、いろいろ引き出しを開けながらやってました。収録については、普段あんまりこういう声の録音をしないので納得いくところまでなかなかいかないんですよ。すごい録り直しをするのでめっちゃ時間がかかるんですね。1つの台詞を少なくても3回ぐらい、多かったら10回以上とか撮ってると思います。
あと、3のラストの方の台詞がなかなか決まらなくて、結構困ったなっていうことはありました。複雑な感情のところは、ストレートに出していいのか、含んだ感じで聞こえた方がいいのかみたいなのは悩みました。 
- 中島さんは当時の作曲に関するエピソードはありますか?

- 当時、仕事では効果音作成がメインで、曲を作るのは2~3か月に2曲ぐらいのぺースだったんです。
なので、脳の中の曲を作る筋肉があまり温まっていない状態で、しかも自分が作ったことのないタイプの曲を求められてたので、軌道に乗るまでは結構難航しました。
で、更にちょうど締切ぐらいの時に、当時飼ってた猫が亡くなりまして。メインの仕事の方もその影響でちょっと止まってたんですけど、Kellyさんから「猫亡くなりましたけど曲どんな感じですか?」て感じのわりとドライな確認が来て。
ドライだなと思いつつも、やっぱりディレクション・プロデュースする人はそう(作品の完成の為に邁進する)じゃなきゃいかんなと。
悲しくても、自分は目の前の責務を果たさなきゃいかんよな、メンタル切り替えて取りかかりました。
曲の方向性については、参考曲をもらってたので迷うことはなかったです。 
- worthは当時の事なんか覚えてる?

- もうね、とにかく1作目の前半ルートのラストの、船の上で劉明華と越児さんがタイマンしてるところのアクションの流れが何度書き直してもらっても理解できなくて困ったというのを覚えてる。あの頃が一番やりとり頻繁だったよね。でも、作品を重ねるにつれてどんどん少なくなっていった。

- 最初は越児さんの視点の場面と越児さんがいない場面が混在してるのが分かりにくいとか言われてたけど慣れなのかあまり言われなくなったよね。

- 慣れというか、それはKellyがノベルゲームの文章を書くのに習熟していったんじゃないのかな。

- そういえばリマスター版になってすごい描写の文章量増えた気がするんですが。

- いや、それは逆です。むしろ絵で説明できるところは大体地の文省きましたし、ボイスの演技で充分だから心情の注釈も要らないな、ってところは心理描写も割とがっつり削りました。

- そうなんですか。心理描写はともかく動作の描写についてはかなり細かくなったと思うんですが。おかげで入り込みやすくなりました。

- 多分そういうことはないです。絵がない時はぼんやりしてたのが、絵がついたことで、あれはこういうことだったんだというのが少しは分かりやすくなったんじゃないかなあ。いずれにしてもより伝わるようになったなら嬉しいです。

- そういう意味ではついにKellyが元々作りたかった作品になったのでは?

- いやー、本来脳内ではカメラワーク込々の一連のムービーなので、まだまだ足りないなー、自分にもっと手腕があればなって思いながら作ってるよ(笑)
最近寄せられている反響について

- 近年いただく感想で、海外の方はあんまりそんなことはないんですけど、国内の方からの感想で増えてきたのが「風変わりな世界観」「あまり見ない世界観」「ユニークな世界観」というキーワードなんですが、皆さんは紅蜘蛛シリーズのことをそう思われたことありますか?

- 一般的には香港の黑社會的なものに対してはあまり馴染みがないんじゃないですかね。日本のヤクザものとか想像してると新鮮だと思います。イタリアンマフィアみたいな『ゴッドファーザー』みたいな感じでもないですし。

- 香港が舞台というとジャッキー・チェンが主役の『香港国際警察』とかそういうイメージになっちゃうので時代が随分前になるから印象が違うのかもしれません。

- 私は素兎さんが仰ってた『龍が如く』とそんなに距離的に違わないように思ったんで、風変りって感想は新鮮です。

- そうなんですね。ちなみにリマスター版は中文版も出してるんですけど、そちらは会話の部分を広東語にしたんです。広東語って日本で言ったら標準語に対する沖縄弁ぐらい違うらしいんですけど、やはり香港が舞台なので。そうしたら、香港の人になかなかウケているようで、香港のStreamerの人とか今度Vtuberの人にもゲームを紹介してもらえることになりそうです。本場ではそれほど違和感ないみたいです。
ボイス収集のトラブル

- 皆さんこういうのを収録するのって自宅でやられている方がほとんどですかね。締切前に結構早めにやるっていう方が多いですか?今日は気持ちが乗らないから明日かな、みたいなこともあるんでしょうか。

- 気持ちの入る入らないはあると思います。

- 尻に火が点かないと出てこないってところはあるかも。

- 僕は割と「もう動かないとまずい」ってならないとやれないタイプなんですよ。同時に締切のない仕事が苦手で、いつでもいいよって言われると終わらないんですね。紅蜘蛛はボイスの方は締切はきっちり決めてたんですか?

- 実は初回は私は音声集めの担当ではなくて。ボイスドラマサークルの方がフルボイス版の話を持って来て、オーディションで人集めて音声全部集めて切り出しもして音質調整したやつをまるっと渡すので埋め込みだけしてくださいって話だったんです。でも、それで設定された1作目の締切というのが半年後で、締切の時点で半数も提出されてなかった。切り出しも音質調整もなし。で、サークルの担当者の人も入院中で連絡取れなくなってて、どうにか他の人に尋ねてオーディションで選抜した人たちの連絡先を教えてもらったんです。でも連絡が取れない人が多数いて、更に半分ぐらいはそもそも台本も何ももらってなかったようで、今更もう無理ですみたいなことを言われて。仕方がないのでそこから全部自分で探し直しになりました。

- (絶句)……その後の収録にあたっての締切っていうのはガッチリ決めたんですか?

- 一応決めました。決めたんですけど締切の1ヶ月後に提出してきた人とか、1ヶ月遅れた上にリテイクをお願いしたら更にその提出に1ヶ月かかった人とか色々いました。今ここに参加していらっしゃる方は基本的には締切を限りなく守って下さった方々ですが。

- もしかしたら中島さんが何かの声を当てたかもしれないという未来が……(笑)

- さすがにそれは考えませんでした(笑)演技はちゃんとした方にお願いしたかったので……ただ、worthはちょっとだけ出てるよね。

- 3だったかな、エキストラの役を、カメオ出演やっとくかぐらいのノリでやったね。

- 自宅で収録ってなるといつでもできるという甘えが出てきて結構意志が強くないといけないんじゃないかと思うんですよね。

- 僕は逆に家の近くに学校とかあって普段子供がめちゃくちゃ騒いでるので、静かなタイミングを見つけた瞬間、気持ちがちゃんと乗ってて声の状態がよければ一気に録ります。中途半端になっちゃうと次収録した時にトーンが違ったりするので。

- なるほど。でもそれぞれの方が自分で収録してそれを集めるっていうのはかなり現代的ですよね。同じスタジオでみんな録るっていうんじゃなくて。もちろん紅蜘蛛が何らかの大きなスポンサーがついて商業作品としてドカーンとやれるとなったらそういうことも可能なんでしょうけど、そうじゃなくてもちゃんと作品として出せるクオリティのものがネット経由でできるっていうのはいい時代だなって思います。

- それは私も思います。ただ、紅蜘蛛3の時には結局参加していただいたボイスキャストの方が全部で51人。収録時間トータルで12.9時間だったのでこれはスタジオもかなり厳しいんじゃないかなあ。

- 基本的には(スタジオ収録時間は実際に使う台詞の)10倍かかるって言われてるんで(笑)

- 商業作品だと考えたくないぐらいのコストがかかってますね。

- 商業作品だと逆にここまでできないんじゃないかなっていう感じがします。しかもこれ皆さんに兼ね役やってもらって、お一人3役、4役当たり前にやっていただいてるので。

- 兼ね役は全然普通に現場でもよくある話です。新人の子とかがリテイクまともにできなくて主役の人が代わりに兼ね役することとか。

- そういうのはクレジットには載らないんですか?

- どうだろう。載る場合もあると思うんですけど、載せるほどじゃないパターンが多かったりしますね。
自分が演じた中で一番好きな役は?他に好きなキャラはいますか?

- やっぱり杰克かな。一番若くて向こう見ずで。バディーものが好きなんで、尉遲にいろいろと全部お任せで突っ走って行けるのがやってて気持ちよかったです。

- どの役も演ってて面白かったんですけど、やっぱり陰陽かな。一番やりやすかったのもあるし、さっきKKさんも言ってたけど、バディー役(セラフ)がいて超面白かった。他の人のやったキャラではラムローワンの大ファンです。

- ラムローワンなんだ(笑)自分の役で一番面白かったのはやっぱりラムローワンですね。好きな役は、演じた方ありきで言うと天狼がいい役だと思います。呉丸さん堅めの声なので、警察官とか軍人とか向いてる声なんですけど、アウトローな雰囲気の中にちょっと違うやつがいるぞっていう雰囲気がしっかり出てるのが、僕の中ではすごくマッチしてるなと思ったので。あと、ラムローワンの別荘でふんぞり返ってたやつ(外伝暗花のキーマー)、あいつ好きです。僕の脳内ではラムローワンが後ろから「何してんだお前ー!」てハリセンでパーン叩いて、彼が「あ、ボス!」とか言ってるのが再生されてて。ああいう役好きですね。ああいうのやりたいです。

- そうなんですか?意外。

- クズ役楽しいですよ。突き詰めていくとそこにみんな行くんです。役者というか演技やってる人らは、めちゃくちゃかっこいい主人公とかよりも、ちょっと癖のある役がやりたくなるんですよ。最終的に。

- 分かりますね(笑)

- 冴えないおっさんとか大好き(笑)

- それは、脇役だからキャラ作りに幅がもてるからなんでしょうか?それとも癖があるキャラがいい?

- 割と遊べるところですね。主人公はふざけたりしちゃうと作品の世界が崩壊しちゃうけど、そこからちょっと外れた子、例えば恋愛ものならクラスの女の子の情報とか持ってくるタイプのキャラクターなんかは、ちょっとバカでも真面目でもぶっ飛んでてもいいわけですよね。だから遊び甲斐がある。

- ときメモの好雄ポジションですね。

- そうそう(笑)

- 私は、いっぱいチンピラやらせてもらったのはすごく楽しかったです。遊び放題でした。

- 是枝さんは他の作品では何か変わった役ってやったことあるんですか?

- 普通の女の人からおじいさんまでやるのでどれが変わってるのかもう分からない(笑)。

- 話を元に戻します。呉丸さんはどうですか?

- そうですね。火水ですね。

- マジですか!

- て言ったらこういう反応になるんで、それはもちろん天狼なんですけど。そもそも今火水って言った瞬間、多分みんな誰やねんってなったと思う。彼は彼で面白かったですけど、台詞の量とか考えたら圧倒的天狼ですね。でも自分そんなに兼ね役やってないので……。

- 暗花のユイさんはどうですか?

- あれは難産でしたね。ぱっと見の印象だと、ああいうキャラって割と色物になりやすいじゃないですか。男性が演じるとなると。でもそういうキャラじゃないだろうなって思ったので。だとしたら本当に綺麗なニューハーフみたいな感じの人なんだろうなと思ってたところにKellyさんから「いや、彼は女性になりたい訳じゃないんです」って言われたんでこれはちょっとハードルが一つ上がったぞっていう。女性になりたい訳じゃないけど振舞いは女性っぽいみたいなキャラを見ようと思って、クレヨンしんちゃん見てみたけどかなり誇張されていて参考にならない。なのでどういう声で行こうかってのは自分の中で結構セルフリテイクしました。それでKellyさんにこんな感じでいいですかってやりとりした覚えがあるんですけど。

- そうですね。それで私の返事が「ユイってキャラは女性になりたい訳じゃなくて男性じゃなくなりたいんです」というものでした。

- そうなんですよ。それがもうまさにグレーゾーンでどっちつかずみたいなところがあったんで、変に男が出てもいけないし、女性に寄り過ぎてもいけないっていう塩梅が難しかったです。

- あの過剰にならない感じが素晴らしくて、呉丸さんにお願いしてよかったと本当に思いました。

- 我ながら天狼との落差が半端ないですけどね。終わってみればいい経験でした。楽しかった。

- ユイはファンが多くて、前回(外伝暗花)の座談会の時にMYZNEYさんになんでユイを殺しちゃったんですか?て言われました。

- 私的にはいつものやつだって思いました。天狼で6回死んでますから。

- そんなに死んでるんだ。天狼。

- まあ、毎ルート死んでますからね。

- 自分が参加したら死ぬって言うのがもう決まっている感じはあります。

- そうか。もう呉丸さんに決まった時からユイの運命が決まってたんですね。

- いや、最初にユイってキャラが出てきた時点ではどうなるのか分かってなかったんですよ。出てきた瞬間声は呉丸さんにお願いしようって思いましたけど。結局死んじゃいましたけど……。

- ハハハ。で、天狼的に言うと一番いいなって思う他のキャラは張雷です。でも一視聴者としてみてみると楊坤みたいなおっさんになりたいなっていうのはありますね。懐がすごい深いけどうちに仇なす者は潰すぞ、てすごむシーンとかもあるのがいいなって思います。

- ああいう感じの役はやったことはないんですか?

- 40-60代の役ってほぼないので。来る役って20代後半から30後半ぐらいまでが多いです。

- 40代から難しい。

- なんか言われますよね。その中年域がすごく難しいみたいな。

- 役が少ないんですか?

- 役は少なくはないんですけど……

- 深みが出せないんですよね、なかなかね。

- 多分これどの作者さんも悩みがちな問題だと思うんですけど、40代50代のおっさんキャラとか出すのはいいけど演じられる人が足りない問題ですね。若い人が無理にちょっと老け声出してます感が拭えないんです。

- なるほど……。そういえば紅蜘蛛もその辺のキャスティングは相当苦労しました。takenokonokoさんはご自分の演じたキャラクターでは誰が気に入ってますか?

- 一番って言うのも難しいんですけどこの物語の世界で初めましてだったのでやっぱ大Bですね。
他のキャラで好きなのは、個人的には狗頭ですかね。一作目から結構、日昇との息子と父っていう黑社會ではないところの悩みというか人間ぽさが結構強いキャラなので。日昇もその後ずっと物語に関わり続けてますし。紅蜘蛛で息子と親みたいなのが主軸になってるのって狗頭以外にいましたっけ? 
- 一応永孝と楊坤も確執はあるのかな。

- 確かにそうですね。ただ、永孝は越児との魂の繋がりが強く出てて、楊坤さんとの間に何があってどう乗り越えたかっていうところはまだそこまで描かれていない。なので、今の時点でそういう私の好きなヒューマンドラマってところで、狗頭です。

- やっぱり一番思い入れがあるのは永孝ですが、3で演じた馬文も楽しかったです。永孝は僕の中でこのシリーズの中では一番メインの役だと思ってるので、それ以外の人を演ると制約がなくなって自由になるような気がして。

- 中島さんは好きなキャラいますか?

- これはもう、ずっと前から天狼です。自分が曲を幾つか担当する事になって、初めの時の印象強いキャラクターだったので。
漢気というか、生き方・死に方、何に殉ずるのか、というあたりに魅力を感じるキャラでした。 
- 俺は一番好きなのはやっぱり鬼かな。アンソニー・ウォンの大ファンだというのも多分強いかなという気がしてるけど、1作目の鬼の、常に大事なところで寝てる伝説がすごい印象に残っていて、彼が寝てる間に話が動く作品だったので、そういうところがちょっと可愛いなって。

- 新キャストのユジーンさんの声はどうですか?

- あの声でぐっと人間味が増した気がする。あと、グラフィックも、前は本当に役割に徹してる仕事人みたいな感じだったのが、結構和らいだなって気がするかな。それ以外だとやっぱ大Bがいいね。ダントツでキャラが立ってる。彼が主役の外伝のミニ作品が何本か作れるぐらいのキャラの強さがあるよね。

- 初っ端から、暗号資産に引っかかりそうになってて、よく生きてこれたねっていうのは未だに思ってます(笑)

- 彼が幹部にのし上がるまでの話とかめちゃくちゃ面白そうですよね。

- 多分のし上がってる以上はなにかが上手いんだろうなっていう

- 多分目上の者にすごい可愛がられたりしつつラッキーの連続で成り上がったんじゃないかなっていう気がします。
最後に一言ずつお願いします

- 紅蜘蛛プレイヤーの皆さま、皆さんの演技と声に酔いしれて下さい。私もその盛り上げの一翼を担えれば幸せです。近況としては、50を手前に身体を酷使することに目覚めてしまいまして、3か月前に富士山一周ウルトラウォーキングというのに参加しまして125km歩くっていうのに挑戦したんですけど、60kmいかないぐらいでリタイアしまして、一から身体鍛え直してます。今年はあと、50kmの長距離歩行を2回挑戦します。富士山は来年またリベンジしますので、その時にはまたXとかで挑戦すること呼びかけますので応援よろしくお願いします。

- 肉体派の人が多いってことで……僕は毎日10kmは走ってます。池袋から秋葉原まで走ったりとか、大体往復で20km弱になるんですけど。ていうみんな自分のやってる運動を言っていく流れにしようかと(笑)
プレイヤーの方には、僕は顔グラなしのやつも割と好きなので、リマスター版を楽しんだ後は、是非そちらもどんな感じなんだろうって体感して欲しいです。 
- リマスター版で更に映画感が増したと思うので、オリジナル版をやった方は是非リマスター版をやってみていただきたいなって思います。
私は特に運動はしてないんですが、ちょこちょこボイスドラマ出していただいたり、シチュエーションボイスやらせていただいたりしているので、見かけたらよろしくお願いします。 
- 紅蜘蛛シリーズって、アニメとかラノベとかが大好きな世代にとっては馴染のない香港のワールドベースってところで一見とっつきにくさを感じるかもしれませんが、確かに雰囲気は暗いんですけどその中で人間と人間の織りなすドラマが緻密に練り上げられている作品なので、是非一度さわりから入ってがっつりと楽しんでいただきたいと思います。昔の顔のグラフィックがなかったバージョンをプレイされていた方もまたきっと新鮮な気持ちでもう一度楽しめると思います。
最近はちょくちょくジムに行って、レッグプレスやったりラットプルダウンやったり、自宅でプランクやったりバックブリッジやったりして、ちょっと身体を鍛えるのにブームが来ています。
声の活動としては最近は非公開案件が多いのでなかなか告知できるものがないんですけど、高校野球の地方大会の実況アナのバイトを時々やってまして、今度の秋の関東大会が山梨開催なんで、そこにも行ってきます。 
- 呉丸さんの夏の甲子園の地方大会の実況を聴いたんですが、試合の展開が止まってるような時も状況を拾って細かくアナウンスしていて分かりやすくてすごくいい実況でした。

- 秋の大会は10/18なんですけど多分関東県内でCATVでしか見れないと思うんです。皆さんに気軽に聞いてもらえるとしたら夏のバーチャル高校野球の方ですね。

- 制作に入っている紅蜘蛛2のリマスター版を是非楽しみにしていただきたいですし、外伝暗花も含めて他の作品をプレイしていただけると、ここがこういう風に繋がるのかっていう楽しみがあると思うので、既に旧版をプレイ済みの方も是非この機会にもう1回プレイしてくれたら嬉しいです。何度でも天狼を殺しても大丈夫です。

- 殺そうと思わなくたって死ぬんだ!(笑)

- 彼には死の運命が付きまとっているようですけども、自分たちが味わえる死に様は1回こっきりですけど、物語だからこそ彼らの死に様に何度でも思いを馳せられるっていうところも芸術、人の作り出した営みのすごく素敵な体験の1つだと思うので、是非、何度でも我々を殺してください。
最近は私は運動は月に2、3回自宅でちょっと思い出す時に腕立てやるぐらいなんですけど、茄子を育て始めまして。その鉢を上げたり降ろしたりしてるのを運動としてカウントしていいですかね? 
- その茄子って食用ですか?収穫する為に?

- 収穫する為なんですけど、ちょっとまだ農家経験値が乏しいんでなかなか実がならないんですよね。病害虫は今のところそんなにめちゃくちゃついてはないんで、多分育てやすい方なんじゃないかとは思うんですけど、花はつくけどなかなか結実しない。一応外で、ベランダでプランターで育ててるんですが。でもまだ置いて半年ぐらいなんでね。長々と命と向き合っていきたいなって思います。

- 紅蜘蛛シリーズをプレイして下さっている皆さま。ついにこれで永孝が葛原に統一されました。シリーズを通してもう一度遊んでいただけたら嬉しいなと思います。
最近は舞台と映像ばかりなんでタイミング的にどうかなと思うんですけど、とりあえず直近の土日に出演する舞台があります。
劇団ルービック◇キューブ
第11回本公演「シンセカイより」
2025/10/11(土) 15:00(完売)/19:00
2025/10/12(日) 12:00/16:00
料金 3,500円
場所 ステージプラス(STAGE+PLUS)
オムニバス形式の3話構成です。こちらから予約できます!
あと、自主映画「愛とゆるしとピースの欠片」という作品に出演しています。撮影がまだちょっと残っていて、完成は来年の予定。 
- 紅蜘蛛1作目はまだ僕が参加してないので、自分の曲の話ではないんですけど、塩生さんのBGMが実に琴線を揺らしにかかってくるんで、そこを楽しんでいただけたらと思います。また、それ以外のBGMもシチュエーションに実に合ってると思いますので、声だけでなくそういうBGMと場面の親和性も楽しんでもらいたいなと思います。

- 紅蜘蛛シリーズはこれからもどんどんリマスターが出たり、あるいは新シリーズが出たりというところなので是非ファンの皆さんも展開をお楽しみにというところと、それを待つ間に元ネタの香港映画をみんないっぱい観て欲しいなーって思います。

- そうですね。今年トワイライト・ウォリアーズがちょっとヒットして、香港映画がかなり入ってくるようになってきたので、見やすくなってると思います。

- トワイライト・ウォリアーズを見て気に入るような層であれば、きっとインファナル・アフェアは絶対に気に入ってくれると思うので、とにかくインファだけでもいいから見て欲しい。近況的には、ここ数年ほとんど育児と仕事に専念していて趣味の活動があまりできていない感じなので、もう少し子どもが手を離れてしまったら、またいろいろ楽しみたいなと思っています。

- 最後に私から。1作目のリマスター版は絵を作るのに7ヶ月かかったので、紅蜘蛛2のボリュームを考えたら次作リマスター版は1年近くかかると思われます。紅蜘蛛3とか2年ぐらいかかるんじゃないかなって感じなのでまだ先は長いんですけど、気長にお付き合いいただければ。

- AIの進化で今度はムービーが作れちゃいそうだよね。

- 多分そこまではちょっと無理な気がするけど、AIのお陰で翻訳とかめちゃめちゃ楽になったのと、背景とかの修正とか楽になりました。リマスター版が出せてるのはそのおかげです。それでは皆さま、今日は本当にありがとうございました。